2018年4月10日15:23:51
No.752
様ざまな病状を持っている患者さんから、沢山のことを学びます。
私はこれまで、病気がでると、”病気とは何とも悪い奴だ”、
そう思っていました。
しかし長く患者さんの様子を聞いたり診たりしていますと、
病気とは、人が生きることを続けるために、やむを得ない措置なのだ
と感じます。
たとえば脳卒中や心筋梗塞が起こる根源に、血管の動脈硬化症が
少なからずあります。
動脈硬化症も病気ととらえることができますが、ひどくなると血管壁に
カルシウムが沈着して石灰化し、血管がとても硬くなり、本来の血管
の弾力性、伸縮性がさらに失われます。
一見すると、とんでもないことですが、こうすることで私たちは生き
のびることができます。
血管が動脈硬化症になるとき、血管壁はとてもひどい炎症を起こし
ています。もしそのままにしておいたら血管は破れ、大出血を起こし
、おそらく命を失ってしまうことでしょう。
しかし血管壁に炎症を鎮めるべくカルシウムがやってきて、血管壁
を頑丈に補強してくれるために、大出血をしないですむのです。
カルシウムが血管壁にくっついて硬い血管になることは、生体と
しての本意ではないものの、生きるためにやむを得ない究極の
措置なのです。すなわち生体の合目的的措置なのです。
そこで私たちは動脈硬化を確認したら、命を奪われないうちに
急いで対策をたてるべきなのです。
そして癌もまた、同様のことが起こっているのです。