2016年11月20日14:27:32
No.692
対症療法に対して、根治療法という言葉があります。
対症療法は病気の改善はできますが、治癒させるものではありません。
例えば糖尿病の患者さんに、薬を飲んで頂き、血糖値やHbA1cが正常に
なっても、これは糖尿病が治った分けではありません。何故なら、もし薬を
中断したら、血糖値もHbA1cも再び上昇するからです。またこのような事
を経験しませか?薬によって糖尿病のコントロールは全く良くいのに、目、
末梢神経、腎臓、脳血管などに徐々に合併症がでてしまう。これもまた
糖尿病の数値は全て良いのに、糖尿病は決して治っていないことを意味
する証拠です。
実は現在の治療法は、全ての病気において、それが高血圧も高脂血症も
肝臓病であっても、対症療法を施しているだけです。もちろん対症療法の
お陰で、私たちは苦痛から逃れ、病気の悪化を免れています。
ただ病気になった場合、是が非でも治さなくてはなりません。
それには根治療法がどうしても必須になります。
根治療法は病気を治すことを目的にしています。いわゆる病気の根を
根こそぎ抜くことが必要です。では、そもそも根治とは何をどうすること
なのでしょうか?
それは風邪引きが治る時のことを想像してみて下さい。風邪引きのとき
風邪薬を服用する方が多いと思いますが、風邪薬は風邪の諸症状を
改善する薬であって、風邪そのものを撃退する薬ではありません。
つまり、対症療法の薬なのです。では何故風邪は治るのでしょうか?
それは風邪引きのお薬を飲んで、風邪の諸症状が改善するうちに、風邪
を撃退する力が自分自身に付いてきて、風邪は治るのです。すなわち
病気を治そうとする力、病気を防ごうとする力の回復こそが、根治療法
なのです。
結論ですが、病気を治癒する根治療法とは、自己防御力を回復する治療
のことを言います。
分かりやすい例を一つ。
少し前に小さい子供さんに母親の肺を移植した症例がありました。
新聞の記事によると、世界初の症例であったそうですが、担当の先生
のコメントが記載されていました。
「手術の成功は、この子供さんの生命力があったからです。」
もちろん腕の良い先生方が行ったからこその成功であることに違いが
ありません。しかし、これこそが病気が治る本質なのです。
そして対症療法とは、根治療法を速やかに成功に導くための手段と言え
るのです。